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今日は七夕ですね!

管理人が住んでいる地域は、残念ながら一日天気が悪いままでした。
ふと嵐さんとバンビはどうしてたかな、と妄想したので、続きに畳みます。






「あ、降ってきちゃった」

外出中、ほっぺたにぽつりと雨粒が落ちるのを感じて、わたしは慌てて持っていた傘を開いた。
すると、すぐに横から伸びてきた不二山くんの手が、ひょい、とその柄をさらって、持ってくれる。
わたしたちはそのまま相合傘で、臨海公園の煉瓦道を歩き出した。
傘、持っててよかった。天気予報見事に的中。もっとも、まだ梅雨明け前で、ここのところずっと雨続きだったから傘は必携品だ。
折角のデートなのにあいにくの天気なのは勿論だけど。

「今日は七夕なのに。織姫と彦星、会えないね」

半ば冗談交じりでそう言うと、不二山くんは、そうだな、と頷く。
色恋沙汰、特に他人のそれには殊更に興味が薄い不二山くんでも、さすがに七夕の伝説は知っていたみたい。
「色々説があるみたいだけど、織姫と彦星がお互いに夢中になって仕事をしなくなっちゃったから、織姫のお父さんの天帝が怒って2人を引き離したらしいよ」
「へぇ」
「でも、逢えなくなった事であまりにも嘆き悲しむのを可哀想に思って、一年に一度、七夕の日に逢えるようにしてあげたんだって」
「ふーん」
「けど、雨が降ると天の川が増水するからダメなんだって」
「なんか色々つっこみてぇけど、まあ、伝説なんてそんなもんか」
ドライな口調で言う不二山くん。
わたしはそんな彼を横目で見て、ふと思いつく。その発想が自分的に面白くて、ちょっと笑ってしまった。
「なんだ。なんかおかしいんか」
「うん、あのね、不二山くんだったら、天の川くらい泳いで渡っちゃいそうだな、って思って」
高校時代プールでバイトをしていた不二山くんは、とても泳ぎが得意だ。だからそういう発想になったんだけど。
不二山くんは真顔で言う。
「増水した川はダメだ。危ねぇ。自然なめんな」
「! そっか……」
救助も含めた仕事をしていたからこそのその意見に、目から鱗が落ちる。
「そうだね、ごめんね」
反省して謝ると、不二山くんは、いーよ、と笑って、あ、と付け足す。
「けど、おまえが溺れてたら飛び込むぞ」
事もなげにさらっと言われて、照れる。
「そ、そう? あ、ありがとう」
対照的に、不二山くんは涼しい顏のままだ。ちょっとぐらい照れてくれてもいいのに、と思わないでもない。……贅沢かな?
わたしが1人でこっそり幸せをかみしめていると、不二山くんは傘の裏を見るように目線を上げた。そして、呟くように言う。
「つーか、まあそれ以前の問題だけど」
「? なにが?」
「泳いで渡る前に、もし俺が彦星だったら、むざむざその天帝とか言う奴の言う事なんて聞かねーよ」

おまえと引き離される前に、吹っ飛ばす。

ニヤリと笑って告げられる、神をも恐れぬその発言。

柔道着に身を包んだ彦星が、偉そぶった天帝を華麗に背負い投げる様を想像して、わたしは今度こそ盛大に吹き出した。


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