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珍しく日に二度目の記事です。
先日、ツイッターのお題診断というものをやりまして(名前の入力欄にキャラ名やらカップリング名やら入れると自動的にシチュが出てくる)、その内容が、

「あなたは50分以内に1RTされたら、大学生で一緒に暮らしてる設定で付き合ってる二人を第三者視点から見た不二山嵐の、漫画または小説を書きます」

と言うものでした。
RTと言うのはリツイートの略で、これをすると自分をフォローしてくれている人たちに同内容のものを通知することができるのです。多分。(←あんまり使いこなせてないから説明にも自信無い)そのリツイートが規定時間内に規定数(この場合は一回)に達したら、この内容で作品を書くという、まあ、ちょっとした遊びみたいなものでしょうか。

で、私はこれに、「嵐さんは大学生の間に同棲などしないでFA」と付け加えて、ツイートしたんですが、これをリツイートしてくれた方が一人いらっしゃったのです。なので、即興で書いて、ピクシブにアップしました。普段はサイトがメインでピクシブはサイトに来て下さる方以外にもちょっとでも読んで頂けたら嬉しい、というスタンスでやっているので、ピクシブの方に新しい話をアップすることは殆どないのですが、今回は書くきっかけがツイッターのお題で、ピクシブはツイッターと連動しており、ピクシブ内でアップした作品についての通知をすることができるので、珍しくあちらに先に書いたお話を乗っけました。
ちょっと迷ったのですが、しばらくサイトに作品上げられるめどが立っていないので、ここに置いておきます。後でページ作ったらサイトに掲載する予定でおります。

ピクシブはチキンの私には正直評価機能が怖いんですが、htmlでページ作らなくていいのが楽です。後はR付きのお話を載せるのにタグをつけるだけでいいのも簡単ですね。まあR付きの話なんてそうそう書いたりしませんが…。

タイトルはぶっちゃけ、「目は口ほどに(物を言う)」を瞳と唇に置き換えてちょっとだけニュアンスを変えただけです。2000文字くらいの短いお話です。

*****************************


不二山嵐が目を開けると、そこは自分の部屋ではなく、独り暮らしをしている恋人の部屋だった。判断材料は、天井に貼られたクロスの文様だ。不二山は今、それを見上げ、ベッドの上に横たわっている。
不二山とこの部屋の借り主は高校の同級生で、彼女は同じ部活のマネージャーをしていた。卒業直後から二人は交際を始めたのだが、大学は別々なので、彼女はもうマネージャーではない。もっとも、不二山の専属になった、と言う意味では、身の回りの世話を焼くことについてよりいっそう専門性が増した、と言えるかもしれない。
「おはよう」
すぐ脇で声がして、不二山はゆっくりと視界を転換する。声の持ち主、ベッド脇居たのは、やはり不二山の恋人であった。両肘を立てて頬杖をつき、不二山を見下ろしている。
「ごはん、できてるよ。早く起きないと大学遅れちゃうから」
イタズラっぽく笑いながら言う彼女に、不二山は尋ねる。
「俺、昨日泊まったんか?」
すると、彼女は小さく吹き出した。
「えぇ? 何言ってるの? 泊まるも何も、もう一緒に住んでるのに」
「……」
その答えを聞いて、そのまま不二山はまた目を閉じる。
「こら! 早く起きなさい!」
揺さぶられた。
だが、不二山はそのまま目を開けずに言った。
「わかってる。すぐ起きる」





「……それで?」
向かい合っていた相手に訊かれて、不二山は何でもないことのように答える。
「それでもなにも、そんだけ」
「……」

冬の休日、臨海公園地区のフードコート内。たくさんのテーブルが並んでいる中、その席の一つで、不二山は前述の彼女と昼食を取っていた。
目当ての店の列に並んで待つ間、高校時代のことを思い出し、今ならカップルストローってやつでもいいぞ、と不二山が言うと、意地悪! と睨まれた。ホントはする気ないくせに、もういいです、とぷりぷり怒る彼女に、不二山は歯を見せて笑った。もう二年ほど前になるだろうか、まだ彼女が自分にとって特別だと自覚していなかった頃、あんなのやだ、とけんもほろろに断った頃が懐かしい。
彼女は彼女で、不二山が惚れた腫れたに関わらず、ああいった類のことをしない主義なのだと今ではもう重々承知しているし、彼女がそう理解してくれているであろうことを不二山自身も織り込み済みの上であえて口にしている。つまり、恋人同士の単なるじゃれ合いの一環だ。
そしてその後、すぐに機嫌を直した彼女と仲むつまじく食事をしている時に、今朝見た夢の話を思い出して、話してみたのだ。不二山は彼女と同棲などしていないし、部屋に泊まったりすることもない。
「……えーと」
彼女は少し考えるふうにして小さく首を傾けてから、言った。
「夢の中でもまた寝ちゃうなんて、寝起きが悪いんだね」
彼女のとってつけたような感想に、不二山は口を軽く凸型にする。
「違ぇよ。夢だってわかったから寝たんだ」
「え? そうなの?」
「もっかい寝りゃ、次に目ぇ開けた時にはホントに目が覚めるからな」
そ、そうなんだ、と彼女は珍しいものを見るような目を不二山に向けてきた。
「……それにしても、よく夢の中でこれは夢だってわかったね。わたしはわりと気付かないなぁ。よっぽど突拍子のない内容なら別だけど」
「そりゃわかんだろ。あり得ねぇもん」
不二山は断言する。
「夢ん中で、おまえはメシが出来てるっつってた。けど、匂いがしなかった」
「匂い? 匂いがしないなんて、夢の中ですぐに認識できるものかなぁ」
「できる。メシが出来てんならいい匂いがすんだろ。すれば言われなくても起きる。けど、俺は寝たまんまだった。つまり匂いがなかったってことだ」
不二山の名推理(?)を聞くと、彼女はぽかんと中途半端に口を開けた。どうやら呆れられたらしい。これは推理なしでもわかった。
「ちょ、それが根拠なの? どんだけ食いしん坊?」
「食いしん坊言うな」
不二山は真顔で返すと、それに、と付け加える。
「ねぇだろ。一緒に住むとか」
ずばり言うと、彼女は一瞬表情を無くした。だが、すぐに取り繕うようにして微かに笑った。とてもわざとらしく。そして言う。
「そうかな? 友達とか先輩で、もう一緒に住んでる人、結構いるよ」
「人は関係ねぇだろ。俺らの話」
ばっさり切ると、彼女の顔から笑みが消えた。
「う、ん。そうだね……」
あっと言う間に、明らかに元気がなくなってしまった。
その様子に、不二山は苦笑する。仕方ねーな、と思いながら、言ってやった。ひとことだけ。
「……待ってろ」
「え?」
何を、と不思議そうに聞き返してくる彼女。
不二山はもう一度言った。意力に満ちた目、その鮮やかな視線を向けて、待ってろ、と。

「! …………」

彼女は一瞬目を見開くと、すぐに酷く悩ましげな顔――不二山が、外ではすんな、と咎めたくなるほどだった――になった。それから、仄かに染まった頬を俯むかせ、目を伏せ、か細い声で、けれど確かに、何かを諦めるように、噛みしめるようにして、はい、と応える。


だから。



押忍、と。
不二山もいつものように小さくひとつ、頷いた。

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