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メインはサイトのレス用です。たまに他愛無ない日常の事も。
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恐ろしいほどのろのろ連載カレン編5話目が出来上がりました~。

結構駆け足で書いたので後で訂正するやもしれません。
前にも書きましたが、サイトにのっけてないのはそのせいで、連載終わった後つじつま合わせとかして向こうにアップし直す予定、こちらにあるうちはプロトタイプってことでひとつ。いや、なるべく直さないように心がけますが!

知らない方のため(いや、殆どだと思うけど)に一応前回までのあらすじとこの先の簡単な展開を反転しときます。

(以下反転)

自分の長身と家柄に悩む花椿カレン。18歳の誕生日を目前にした彼女の元に、同じ一族でありながらそのほとんどが謎に包まれている人物、花椿姫子が怪しげな薬を手に現れる。彼女は入れ替わってみたい人間はいるか? と問うと、カレンに告げた。

『その方にこれを飲ませて、体の一部を繋ぎ、一晩一緒に過ごすのです。次に目覚めた時には貴女はその方に、その方は貴女になっているでしょう。ただし、効果は口にした時から24時間。意識を保てるのは後から薬を口にした方だけだから、お気をつけなさい』

半信半疑でありながらも、カレンは思う。

『バンビになってみたい』

そして親友に薬を飲ませた翌朝、目を覚ますとカレンの目の前には自分の体が横たわっていた。

親友となりかわったカレンの前に次々に現れる男子たち。
親友の前だからこそ覗く、彼らの意外な一面に翻弄されるカレンの行く末は?

(反転終わり)

毎度書いてますが、

連載通してネタばれありです。

*******************************





設楽先輩の車を見送った後、アタシはふらふらと歩きだした。
なんだか、まだ余韻が抜けない……酔っちゃってるみたいなカンジ?
だからかもしれない。
いつの間にか入り込んでいた雑木林、それを抜けた先。
はば学の敷地内にある伝説の教会の裏手、ステンドグラスの見えるところに辿り着いちゃったのは。
そこまで来て、ようやくアタシは我に返る。

いっけない……正門と反対側に来ちゃったよ。ああ、もう、なにやってんだろ……。

額をこつこつげんこつで叩いて、アタシはその先の校舎裏へと出ようと歩き出した。

にしても、この辺ってあんま手入れされてないんだ。草ぼーぼーじゃんね。そりゃ教会にツタも這うわけだわ……。

そんな風に改めてあたりを見渡しながら歩みを進めると。

段々と暑さを増す朝の空気。
蝉の声のこだまする木々の下。
むっとするような草いきれ。
その、草むらの向こうに。
なんか、肌色のものが蠢いて見え隠れしてんのに、気付いた。

「!?」

アタシは思わずぎょっとして足を止める。

ななななななななに? なんで? あれってどう見ても男の背中だよね!?

信じられないことに、少し離れた先で、しゃがんで前かがみになってるそれが不自然に動いてた。軽く、前後に揺するようにして。

ええええぇぇええ? 
ちょ、マジ? こんな時間にこんなところで青か……って、イッヤァァァァアア! く、口に出すのも汚らわしい!!

そう思うと鳥肌がたって、本気で泣きたくなった。
もう、なんでこんな目に……アタシが何したってのよ。
さっきはさっきでドキドキさせられっぱなしだし。
ったく、男ってヤツはどいつもこいつも。
なんか……ちょっと腹立ってきた。てか、ドタマにきた。

神聖なる教会の前で、学校の中で、乙女の目の前で何やってんだアンタら!
このカレンさんが成敗してくれる!
後ろから背中に蹴り入れたろか! ……とは思うものの。

これ以上近寄って目の当たりにすんのはやっぱ…ねぇ?
花も恥じらう乙女としてはちょっと……。

そう思って、ちょい離れたトコから『コラーッ!』って怒鳴ってやろうと思ったんだけど。

「……あれ?」
「ぅおわ!?」

よくよく見てみると、それは見知らぬ誰かなんかじゃなくて。

「こ、コーイチ君じゃん! な、何やってんの、こんなとこで!!」

アタシの声を聞いて、軽く肩越しに振り返ったその男は、同じ学年の桜井琥一君だった。
190の上背、軽く日に焼けた肌、髪型は今時珍しいリーゼント……なんだけど、今は巻かれた粗品チックなタオルで隠れてる。
片耳には弟の琉夏君とおそろいのピアスをしていて、とにかく目つきと態度と柄が悪いことで有名だ。
そして、ココ大事。
なんとあのバンビの幼なじみだって言うから驚(おっどろ)きなんだ。
バンビは、琥一君のこと、ホントはすごく照れ屋さんで優しくて頼りになるんだよ、なんて言ってたけど。

「サイテー! ド変態! やっぱ野獣だったんじゃん! バンビが見たらなんて言うと思うのさ、この唐変木!」

勢いに任せてアタシが怒鳴りつけると、琥一君はカラダごと振り返る。
振り返ったら。
上半身は裸なんだけど、ちゃんと制服のズボン穿いてて、ひとり、だった。

「……あれ?」
「誰が変態だコラ。つかよ、バンビってのはオマエのあだ名だろうが」

ヤンキー座りでギロリと鋭く睨み上げられて、アタシはハッする。

そ、そうだった! アタシ今バンビだったんだ……!

大事なことを思い出したアタシは、精一杯バンビっぽく取り繕う。
「あの、お、おはよう(はぁと)」
「……オゥ」
「えっと、ご、ごめんね? あの、アタ、じゃなくて、わたし、ちょっと勘違いしちゃって」
「ハァ? 勘違いって何だよ」
「う、うん。だって、その、裸の男の人の背中が変なふうに動いてるから、人気(ひとけ)がないのを良いことに変なことしてるんじゃないかって……も、森に住むいたいけなバンビが見たら、泣いちゃうぞ、って……」
我ながら苦しすぎる言い訳を繰り出すと、琥一君は、変なことだぁ? って考え込むみたいに眉間に皺を寄せて――次の瞬間、耳まで真っ赤になった。
「ばっ、テメッ、何想像してやがんだ!? っ、どぅわ!」
おまけにあわてて立ち上がろうとした途端、体勢を崩してその場に背中からひっくりかえる。
「コーイチく…」
呼びかけて、ふと思い出す。さっきの設楽先輩とのやりとりが頭にあったせいかもしれない。
確かバンビは、琥一君のことを。
「えっと、コウくん……大丈夫?」
「大丈夫な訳ねぇだろ……チッ。座りっぱなしで痺れてやがった……」
舌打ちしながらよろよろと大きな体を起こす琥一君。背中もズボンも土で汚れちゃってる。
でも、彼が倒れたおかげで、その向こうにあるものが見えて、アタシは彼がここで何をしていたのか知ることができたんだ。
「コー……コウくん、草取り、してたんだ?」
「……」
アタシの指摘に、立ち上がった琥一君は、答えるどころか、ふいっとあさっての方を向いてしまう。
痒ィなオイ、とかぶつくさ言いながら腕をぽりぽりかいてる。蚊にくわれてるみたいだ。

倒れた彼の向こう側にあったもの、それは、毟った草の山で、その奥の一角は、綺麗になさられた地面が顔を出していた。まだ残っている草の脇には、「はばたき学園園芸部」って柄に書いてある、草刈り鎌が置いてある。そして落ち着いてよく見れば、琥一君のカラダに見合った大きな手には軍手がはめられてた。
アタシの視線に気がついて、琥一君は短いため息をついた。それから、諦めたように喋り出す。
「……まあ、今更か。オマエにゃ前に水やりも見られちまったからな」
「!」
琥一君、水やりなんてしてるんだ……。
正直、ビックリした。あまりにも意外すぎて。
「もうすぐ夏休みだからな。今のうちに刈っとかねぇと手がつけらんなくなっちまうからよ。ったく梅雨からこっち、すぐ伸びてきやがる」
そう言って、琥一君は軍手をはずしてから、頭のタオルも取り去った。それで改めて額に流れる汗を拭う。
それから、また痒ィって、ぼりぼりと腕をかきむしった。

ああ、そっか。
上半身裸なのは、汗、たくさんかいちゃうからか。

今更ながら、そう気が付いた。

「……蚊取線香ぶら下げてやったらよかったんじゃない?」
思わずアタシがそう言うと。
「チッ。んなダセェ真似ができるか」
「おシャレじゃないから?」
「そんなんじゃねぇよ。ポリシーだ」
「……」

どうしてかは分からないけど、琥一君はこの辺のスペースの手入れをしてるんだ。
もしかして、何かを育てたりしてんのかも。
それなのに、アタシってば。
変な想像しちゃって……うう、汚らわしいのはアタシの頭の中じゃん……。
さっきの設楽先輩とのやりとりが刺激的すぎて、なんか思考がそっち方面にいっちゃってんのかも。サイテー……。

そう思って大きくため息をつくと、タオルを肩にひっかけた琥一君が、側に歩み寄ってきた。

「どした。顔が暗ぇな。なんかあったか?」

気遣うような響きの声。
高い位置から心配そうに顔をのぞき込まれて、ドキッとする。

いつもは怖いだけのその顔が、すごく優しそうに見えて。
思わずまじまじと見つめて、気が付いた。
……目が。
鋭くてガンたれてるのがデフォルトみたいな目が、すごく優しい。心配そうな色、してる。
すごくバンビのこと気遣ってるんだなって、分かった。

『ホントはすごく照れ屋さんで優しくて頼りになるんだよ』

バンビの言うとおりだ。
アタシって男見る目ないんだ。

下ネタ聞いて耳まで真っ赤になったり。
朝早く来て人知れず草取りしてるとか。
こっそり、水やりもしてて。
おまけに、人が落ち込んでる様子に気が付いて思いやれるような、そんなヤツだったんだ。
こうして見るとわりとさっぱり整った顔立ちしてるし。
私服もお洒落だし。

……前に野獣とかバカヤンキーとか言ったりして悪かったな……。

それとも。

設楽先輩と同じように、これも相手がバンビだから?
バンビだけに見せる表情。そして態度。
……きっとそうだ。
だから、周りから怖がられてるだけのワルみたいな雰囲気が微塵もないんだ。
バンビの前だから。
バンビが、特別だから。

「あ? どした?」
「えっ? う、ううん、なんでも!」

これ以上、バンビに向けられてる優しさを、まんまアタシが受け取るわけにはいかないよ。

そう思って慌てて視線を下げたら。
すぐ目の前に。モロに。
よく引き締まった広い胸板が。男の、裸が。

「ぎゃああああああ!」
「うぉ!? なんだ?」

どした? 落ち着け! そんな焦ったような声とともに肩のあたりに手が伸びてくるのが見えた。

「さ、触んないで!!」

アタシはつい、反射的にそれを思いっきり払いのけた。
ビシ、と肉のぶつかり合う音がして、手に鋭い痛みが走る。
「っ…」
「……」
「! あ、ご、ごめん、つい……」
謝って顔を上げて――ハッとした。
だって。
さっきは心配そうだった目が。
一瞬にして酷く傷ついたように、ぐっと屈折するのが見えたから。
「……悪ぃ」
「う、ううん、違うんだよ? あの……」
「いや、いい。……無理もねぇ」
「え?」
「俺の汚ぇ手が触れていいようなもんじゃねぇよな」
あまりに自分を卑下した琥一君の物言いに、アタシはビックリして否定する。
「え? 汚れてなんてないよ! ぐ、軍手してたし!」
「……そういう意味じゃねぇ」
俺は、汚ぇヤツなんだ。
そう言って、琥一君はうつむいた。
その様子が、何か心に深い傷や後悔を抱え込んでる。そんな風にアタシに思わせた。

どうしよう。
そうだよね、大事な幼なじみに、バンビに、触らないで、なんて言われたら。心配して伸ばした手を、払いのけられたりしたら。
傷つけちゃったよ…どうしよう……!

そう思って、アタシはつい口走った。ついさっき、自分の身に起こったことを。

「あ、あのね! さっき、ちょっと刺激的なことがあって、それで今男の人を意識しやすいって言うか、その……そんなカンジ?」
うつむいた琥一君が、ゆるゆると頭を上げる。
「……意識、か?」
「う、うん。だってコウくん、上、裸なんだもん!」
アタシが必死で言うと、琥一君は軽く目を見開いて、自分の体を見下ろす。
「! お、オォ、そうだな。……そうか」
悪ぃ、って言って、琥一君はカラだのあちこちについた土を払って落とすと、肩にかけたタオルで汗を拭う。それから、近くの木にひっかけてあったタンクトップとワイシャツに、順番に袖を通した。
「……これでいいか?」
「うん! い、いつものコウくんだね!」
「……オォ」
頷いて、すごく嬉しそうな瞳(め)をして、薄く微笑む琥一君。
「!」
その様子に、不覚にもきゅんとくる。まるで、バンビと初めて会った時みたいに。
目の前の自分よりずっとデッカい目つきの悪い大男が、ものっそい可愛く思えてしまって、アタシは気がガタガタ動転する。

え? な、なんで?
なにこれ! 
まさか。
設楽先輩と違う意味でギャップ萌えってやつ!?

ヤ、ヤダ!
なんか、不良が雨の中捨て犬拾うの見てときめいちゃうとか、そーゆーのにスッゴい似てない?
ズルいって、こんなのぉぉ!

内心でそんな風にあわあわしてるアタシに、琥一君が言った。ある意味それは救いの神の手だった…んだけど。

「……で、さっきの話だけどよ」
「え?」
「刺激的なこと、ってのは、なんだ?」
「え!?」
じ――っと穴の開くほど見つめられて、アタシはひやっとする。
う……何気に憶えいいんだ。
「えぇと、その……たいしたことでは……」
ごまかすアタシに、琥一君はやや据わった目をして言う。
「男を警戒しちまうようなんかがあったってこったな?」
意外にも鋭い琥一君。
ギクッ!
音がしそうなほど、アタシは自分の肩が跳ねるのを感じた。
それを見て取った琥一君の目が、更に細くなる。
「い、いや、別に、そんな」
「……痴漢か」
「うぇっ!?」
「痴漢にあったんじゃねぇのか」
「そ、そんなのないない! ないって! 朝っぱらから!」
「時間はカンケーねぇ。電車ん中じゃよくあるハナシだろうが」
顔覚えてるか? 探し出してぶっ殺してやるからよ! などと、両手の指をボキボキ鳴らし出す琥一君。一気に悪のオーラ満載だ。
ヤバ―――い! 本気でやりそう! マジだよ、目が! スッゴい怖いよ!
「ち、違う! 違うんだって! ちょっと車に乗っけてもらって、その時にキンチョーのあまりドキドキしたって言うか!」
あまりの迫力にうっかり口を滑らしたアタシに、琥一君がサッと顔色を変える。
「車だぁ? 知らねぇヤツの車に引っ張り込まれたのか!?」
だからなんでそーなるの! 人の話を聞け!!
「だから違うって! 知ってる人! 設楽先輩だよ!」
言いながら、アタシは琥一君と設楽先輩が幼なじみだってことを思い出す。
設楽先輩いいとこのボンボンだってよく知ってるだろうし、きっと安心してくれるはず……!

と思ったアタシ、甘かった。

「……聖司か……」

低い声で、唸るように琥一君は言った。

「そ、そうだよ! 仲いいでしょ? 変なことする人じゃないって知って……」
「分かった」
「わ、分かってくれた?」
クックッ、って声をたてて笑う琥一君。笑顔になった、と思ったら。
まともにその顔を見た瞬間、背筋に寒気が走る。

「……!」

えぇえ? ちょ、なに?
そのサタンみたいな笑顔は……!?

「車に連れ込んでオマエに手ぇ出すなんざ、やってくれるじゃねぇか……久々に泣かすか?」

待ってろやセイちゃんよ! などと言って突如その場からスゴい勢いで駆け出す琥一君。

「ちょっ、コウくん、待っ……!」

言ったときにはもう遅い。
あっと言う間に姿が見えなくなる。流石、体育祭のリレー三人抜きは伊達じゃないか……。

「……行っちゃった」

少しして、離れた場所からバイクのエンジンをふかす音が聞こえてきた。

……なるほど、ここをバイクの隠し場所にしてたのか……。

にしても。

どーしよ! ……設楽先輩がコロされる……!

アタシは慌てて鞄から、バンビのじゃなくて、自分の携帯電話を取り出す。

『SR400に乗った悪魔がそちらに向かっています。全力で逃げてください』

とりあえずそうメールを打っておいた。
設楽先輩ならこれで通じるはず……だよね?
もう後は男二人で解決して! アタシ、知ーらないっと!

「ハァ……」

なんか……また疲労しちゃったじゃん。
ホント、もう勘弁して欲しい。

にしても、琥一君、人の話全っ然聞かないし、単純過ぎ。

さっきのは気の迷いだね!
やっぱバカヤンキーはバカヤンキーだった。




そう前言を撤回しながら、アタシはその場を後にした。




to be continued…


******************************

設楽先輩に引き続き、今回はコウ兄のターンでした。
ホントはこのシーンなかったのですが、設楽先輩が教会の近くで車から降ろしてくれたので(って自分で書いたんだろがw)、ふと思いついたのでした。
教会? ⇒コウ兄水やり? ⇒季節的に草取りとかもしてるよ! コウ兄なら!
と思った。虫にビクビクしながらガクブルで草取りするコウ兄マジ天使(いや話の中ではサタンになってたけど)。

次回は地味なのを気にしてる(ことに拙宅ではなってる)あのヒトのターン。
(そしてエピソードも地味な予定…)
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