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メインはサイトのレス用です。たまに他愛無ない日常の事も。
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8月12日追記:サイトに同じ作品をアップしなおしました。



風呂から出ました、アサマです(どうでもいいw)。

予告通り数日前から一人で騒いでいた(しょぼん)桜井兄編を投下します~。
さてその前にいつもの御約束の注意書きをば。


1)発売前なので通常よりさらに3割増(当社比)で捏造度アップ!
2)乙女ゲSSなのに甘くない
3)長い
4)GS無印某キャラに関してややネタばれ有

以上全て許してくれる方のみつづきをクリックプリーズプリーズ、ドントブレイクマイハート。メリーがただの友達なんて哀しすぎるじゃない(元ネタがわかる方はがっちり握手!)。


いつか恋が君を変える



春、桜舞う季節。
はばたき市内の商店街の一角。
桜井琥一はうんざりしていた。
先程から彼の目の前には柄の悪い三人組が立ちはだかっていて、『メンチ切ってんじゃねぇぞコラ』だの『やんのかオラ』だの、代わる代わる口汚い台詞を連発している。


(ったく、春は特にこういう連中が増えやがる…)


もっとも春に限ったことではなく、琥一自身が喧嘩を売ることはまずないにも関わらず、無理矢理売り付けてくる連中は後を絶たない。
自分の目付きの悪さと上背がこう言った類いの連中の目を引きやすいせいだろう、もしかしたら髪型も原因かも知れない、とおぼろげながら想像はつくが、だからと言ってポリシーである髪型を変える気は文字通り毛頭ないし、謝る筋でもない。金でカタをつけるのも勿論御免だ。
つまり、このままだと間違いなく一戦交えることになる。


(仕方ねぇな…)


半ばそう諦めながらも。
普段なら売られた喧嘩は即買うところだが、生憎今日はそう簡単にはいかない理由があった。
琥一は片手にスーパーの袋を下げているのだが、いくつか買った食材のひとつに、よりにもよって卵が入っているのだ。


(…こいつをどうするか…)


持ったまま割れないように殴り合うなど不可能だし、その辺に置いておくと踏み潰されそうだ。まさかとは思うが、騒ぎに乗じて誰かが持ち去らないとも限らない。そんなハメに陥って買い直しなどとんでもない話だ、と琥一は真剣に考える。
まがりなりにも自活を始めると決めた今となっては、卵代だって馬鹿にはならない。


それに。


『ね~、コウ。いつもの焼いてよ』


耳に甦る甘えた声。
思い出すと少々苦々しいが、放ってはおけないのが自分の性分だ。
つまらない暴力沙汰で時間を喰って、あまりその声の主を待たせるわけにもいかなかった。


「あぁ? 何シカトこいてんだよ?」
黙ったままの琥一に業を煮やしたのか、相手の一人が一歩前に踏み出してくる。
琥一は手元の袋を握る手に力をこめた。
相手は三人。こうなったらいっそ潔く、振り回して奇襲に使っちまうかーーそう思って目をすがめて相手を睨み付けてやると、向こうもそれが合図とばかりに身構えた。
「…………」
ピリ…と、お互いの間に目に見えない緊張が走り、まさに一触即発ーー。
だがしかし、琥一の左耳のピアスがゆらりと揺れたその刹那、思わぬ声が背後から飛んできた。


「おまえら、こんな往来でナニ始める気だぁ?」


場の空気をまぜっ返すような暢気な口調。
琥一が振り返ると、そこにはなぜか濃紺色のエプロンをつけ眼鏡をかけた男が一人立っていた。
黒い髪はやや長め、笑みが浮かんだ口元は一見すると友好的だが、よくよく見ればレンズの向こうの瞳は笑ってはいない。
「んだコラ、外野はすっこんでろよ」
チンピラの一人が威嚇するが、男は怯むどころかまったく意に介する様子がなかった。
「困るんだよね~。平和な商店街で揉め事起こされるとさあ。ただでさえ大手のショッピングセンターとかに押され気味なんだから、お客さんが寄りつかなくなっちゃうとこちとら商売上がったりなワケ」
その言い分を聞いて琥一は納得する。
商店街のどこかの店の店員だから、街中でエプロン姿なわけだ。
「ハァ? 知ったことかよ。オレたちには関係ねぇっつの。引っ込んでねぇと怪我すんぞ」
そう言って、琥一を行き過ぎて男につかみかかろうとしたチンピラがーー何故か、げ、と声を漏らして表情を変えた。
「おまっ、まさか、てん、どう…」
胸ぐらを掴まれそうになった男は、あれ~? と声を上げる。
「俺のこと知ってんだ? どっかで会ったっけ?」
「っ……」
何を思い出したのか、チンピラの顔が一瞬にして蒼白になる。
「し、知るか、人違いだ、バァカ! ……くっだらねぇ。おい、おまえらもう行くぞ!」
仲間の突然の変調に、残りの二人が気色ばむ。
「ハア? なんでだよ。ワケわかんねぇ」
「ふざけんなよ、このままスルーすんのかよ」
「いいから!」
その店員から飛び退くように離れた男は、琥一を睨み付けて、これに懲りたら二度とデケェ面すんなよ、ガキが、などとしっかり捨て台詞を残すと、納得のいかなさそうな連れの二人を追い立てるようにしてこの場を立ち去ってしまう。
後には、琥一、エプロン姿の男、遠巻きに眺めていた他の店の主や通行人が残されるばかりで、不穏な雰囲気はあっと言う間に一掃されていた。
「……」
よく分からないが、要らぬ喧嘩をせずに済んだらしい。
琥一は店員に頭を下げた。
「どうも」
すると男は人懐っこそうな笑顔になる。
「お、なんだ~。礼儀正しいじゃん。絡まれただけなんだろ? 災難だったな」
「いや、別に」
一応仁義は通したし、この場にもう用はない。そう思って琥一が立ち去ろうとすると、じんくーん! と今度は若い女性の声が聞こえてきた。
「大丈夫だった?」
「おう。言ったろ? 平和的に話し合いで解決するってさ」
「もう、暢気なこと言って……君、大丈夫? 怪我してない?」
話しかけられて、琥一は仕方なく足を止めて頷く。
小柄で柔らかい雰囲気のその女性は、ほっとしたように、良かった、と微笑んだ。見るとやはり男と揃いのエプロンをしている。
「よく話し合いですんだね。正直どうなるかと思ったよ」
「バァカ、心配すんなって。もうやんねーよ喧嘩は。…多分」
「多分?」
「あー、いや、絶対?」
なんで疑問系なの? と突っ込む女性にごまかすように笑いかけると、男は話題を元に戻す。
「なんかさ、あいつらの一人が俺のこと知ってたみたい。そんで逃げてった」
「……昔、酷いことしたんじゃない?」
「かもなー」
からからと笑う男に、女性はやや呆れたように苦笑して、琥一に言った。
「この人、高校の時ちょっと暴れん坊だったの。それで、ね」
「はあ…」
たいして興味があったわけではないが、場馴れした感じはそう言うわけか、と琥一は内心頷く。
「しっかし、あいつら俺とやり合ったことあんなら、もうハタチ過ぎだよな。高校生に絡んだりして情けねぇの。あ、おまえガッコどこ? もしかしてはね学?」
俺、はね学のOBなんだ、ちなみにそこの店が実家、と親しげに言われて、琥一は小さく首を振る。
「いや、オレは、はば学で…つっても、今度の4月からだけど…」
琥一の答えに、男はギョッとしたように表情を崩す。
「はば学かよ! てか、まだギリ中坊じゃん!」
対して女性の方は、特に動じる様子もなく、
「そっか~。わたし、はば学の卒業生なんだ。いいところだから、4月から頑張ってね」
そう言うと、お店空けっぱなしだから先に戻ってるね、と手を振りながら店内へ入る。まだ呆気にとられている様子の男より、もしかしたら肝が据わっているのかも知れない。
男は、はば学ねぇ…などと呟くと、じっと琥一を見据えてきた。
はばたき学園と言えば、この辺りでは一番の進学校でわりと良家の子女が多く通っている。自分がそこにそぐわないとでも言いたいのか、と琥一が鋭い視線で見返すと、しかし男は全然関係ないことを言い出した。
「おまえ、さっきみたいに絡まれること、よくあるだろ」
「…はあ、まあ」
やっぱなあ、と男はさもありなんとばかりに頷く。
「なんか…とんがってるんだよな。雰囲気が。馬鹿な奴らにもそいつが伝わっちまうんだ、多分」
「………」
「はば学でいい女見つけろな。まあ、俺みたいに別のガッコでもいいけど」
「……?」
突然の話題の転換に、琥一はついていけない。
「信じてくれるヤツとか心配してくれるヤツがいると違うんだよ、全然。マジで人生変わる」
俺が生き証人! と親指を立てて茶化すように言うが、その前の台詞には本音がありありと滲んでいるように思えた。
「………」
答えあぐねて無言のままでいると、男は微笑(わら)った。
「信じてねーだろ?」
「まあ…」
そう言葉を濁す琥一に男は告げる。妙に、確信的な口調で。
「変わるよ」
「…………」
「おまえも変わる。いつか」
「…今日はありがとうございました」
本当なら、大きなお世話だと怒鳴り付けてやりたいところだが、琥一は淡々と礼を述べる。
卵の恩があったから大人しく話に付き合ったが、正直かなり辟易していたところだ。ここらが潮時だろう。
そう判断して琥一が頭を下げて再び立ち去ろうとすると、まあちょい待てよ、と引き止められる。
さすがにやや迷惑げな表情を隠せない琥一におかまいなしに、男は10秒待てな! と駆け出して近くの店先に入り、言葉通りにすぐ戻ってきた。手には緑がかった丸い果物らしきものを持っている。
男はエプロンにごしごしとそれを擦りつけると、琥一に向かってひょいと投げて寄越した。琥一は空いている片手で難なくそれをキャッチする。
「持ってけよ。スウィーティー。知ってるか? グレープフルーツの仲間。グレープフルーツより甘くて、喰えば抗ストレス作用、疲労回復、風邪予防、果ては美肌にも効くんだぜ」
それに、と男はにやりと笑って続ける。
「この色。見た目も中身もわりと老けてるけど、ホントはまだ青いおまえにはピッタリだろ?」
「……ごちそうさま」
額に青筋が浮きそうなほどカチンと来たが、何とか口には出さず、琥一は礼を言って今度こそこの場を離れる。
じんくん、売り物なんだからヒトシさんに怒られるよ~、店番してやってんだからいーんだよ、これくらい、などとじゃれ合う声を背中で聴きながら。



商店街を抜けると、小さく舌を打つ。


(……馬鹿らしい。女に人生変えられるなんざ、冗談じゃねぇ)


弱くて煩くて解りにくくて面倒。
今の琥一には『女』に対してマイナスイメージしかない。
そんなもんに生き方左右されるなんて、想像しただけで腹立たしい。


そう思ったその時。


「…………!」


あたたかい春の風が唐突に吹き過ぎて、琥一は瞳を細める。
勢いのあるそれが、どこからかたくさんの桜の花びらを運んできた。
柔らかい日差しの中、足元で螺旋状に踊る花の欠片たちを目にし、揺れる自分の前髪や、頬を直にくすぐる暖かい感触を意識して、今が春なのだと今更ながら改めて実感する。


そこから連想したのだろうかーー?


…まだ、幼い頃。
風に揺れる小さな草花。
自分の名前を呼ぶ誰かの声。
その、優しい温もり。
一瞬、そんなおぼろげな過去の断片が、記憶の片隅で微かな光を放ったような気がしたが。


ジーンズのポケットに突っ込んである携帯電話の不意な振動で我に返り、それが何かを確かめる前に、すぐに意識の上から消えてしまう。


短い知らせはメールの証。着信の相手は見なくてもわかる。
ビニール袋を持ち上げながら、結局随分待たせちまったな、と琥一は軽く息をつく。帰ったら早く作ってやらねぇと。


(けど、あんな粉モンだけでカラダが保(も)つわけねぇ)


先程貰った、手の中にあるスウィーティー。
こいつを添えて出してやれば、少しは栄養的にマシになるだろう。 


そう考えて、彼は大事な『家族』の待つ場所へと歩き出す。



桜井琥一、15歳。
はばたき学園高等部入学まで、あと10日ーーー。






******************************

桜井兄=ヤンキー風、不良と言えば天童君、てなわけでこんな話に
なりました。
本文で明記してませんが、天童君の実家の家業が(ネタばれ反転)
くだもの屋さん(その名も「八百天」wと言うのは、はばチャの情報です。
黒髪なので、学園祭で「似合ってる」と答えた場合の天童ver.ですねw
発売前の捏造にお付き合いいただき、ありがとうございました(平伏)。
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