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8月12日追記:サイトに同じ作品をアップしなおしました。

実家に帰省中@アサマです、おはようございます。

コウ編が軽く行き詰まり(変な日本語w)、気分転換に大迫編を書いていたらうっかり先に出来上がってしまいましたので、こちらを先にアップします。

拙宅、今日で二周年なんですが、まさか当日アップするのが大迫編になるとはw 大迫エンド後のお話です。ていうかタイトルからして、これ大迫編? なビミョーな内容です。

しかも私が敬愛するサイトマスターさまから、大迫エンド2種類あるらしいという情報を得ることができたのですが、1種類しか見てないのに書いちゃった! 後で色々また矛盾とか…出て…きそうだな…。

とりあえず、毎度のことですがネタばれおkな方だけ、つづきへお進み下さい。


あ、昨日でリクエスト受付が締め切りになりましたので、募集の記事を下げましたー。リクエスト下さったお客様、ありがとうございます! 時間はかかってしまうと思いますが、必ず書きますので、気長にお待ちいただけるとありがたいです。

二周年御礼のご挨拶、メッセージのお返事はまたのちほどとさせてください。申し訳ありません!!

*****************************




ボクらはキミのガチ・レンジャー!






「オッス。すまん。先生、ちょっと遅れたぁ」


梅雨明け宣言がなされてすぐの休日。森林公園内のカフェ、そのオープンテラス。
大迫力は、自分を待ってくれていた少女へと片手を上げて歩みより、その前の席へと腰を下ろした。
「いいえ、全然。わたしもさっき来たばっかりです」
「そうかぁ?」
「はい! それに…」
「んー。なんだ?」
「先生を待つ時間も、大好き」
「そ、そうか」
「はい!」
やや動揺する大迫に気付いているのかいないのか、彼女は快活に笑った。


彼女は今年の3月に私立はばたき学園を卒業した大迫の教え子で、今は一流大学に通う女子大生だ。
そんな彼女と今もこうして会っているのは、卒業生へのアフターケア、などではなく、彼女が大迫の恋人だからだ。


彼女の卒業の日。
無事生徒たちの晴れの門出を見届けた大迫は、いつものように海辺をランニングしていた。
そこへ彼女が今にも転がらんばかりの勢いで駆け寄って来たのを、昨日のことのように思い出す。


『わたしは、今から先生にぶつかってみます! ……先生! 大好きですっ! 先生の恋人にしてくださいっ!』


きっぱりとそう言われて、これ以上はないほどに仰天した。
たくさんの生徒(それは大迫にとってみな等しく何よりも大切な)の中のひとりだと思っていた彼女から、まさかそんなふうに言われるとは全くもって予想だにしていなかったからだ。


とは言うものの。
在学中、彼女が放つ誰よりも強い輝きに、教師ではなくひとりの男として目を奪われたことがなかったのか、心動かされることがなかったのかと問われれば、正直、自信をもって頷くことはできない。


出会った当初の彼女は、誤解を怖れず説明するならば、これと言って特筆するところのない(敢えて挙げるとしたら、何かと目立つ桜井兄弟と仲が良いということぐらいの)生徒だった。学生の本分である勉強は苦手で、入学後初の期末試験では赤点を複数取り、補習を受けなくてはならないほど、その成績は芳しくなかった。
だがその後は勉強をはじめとして何事にも全力でぶつかっていくようになりーーそれはもしかしたら、大迫のした助言がきっかけだったかもしれないーー日常生活での地道な努力が実を結び、体育祭で競技に出れば上位入賞、学力においては学年首位にまで上り詰め、文化祭ではクラスの出し物の企画立案を務め、三年目には学園演劇のヒロインに選ばれたのみならず、ついにはローズクイーンの栄冠を手にするまでに至った。言葉で並べ立てるとひどく簡単だが、実際には並大抵の努力では足りなかったはずだ。
その彼女の頑張り、めざましい成長の過程、そして日々増す魅力を間近で見せつけられながら、ただただ客観的に褒め称えるだけの人間でいられるほど、大迫も聖人君子ではない。


もしーーもしも、彼女以外の生徒が同じように自分のところにやってきたとして、果たして自分は同じように言えただろうか? 先生にぶつかってみろ、などと期待を持たせるような台詞を。
……答えは否だ。
相手が彼女だったからこそ、自分は。
だから彼女の告白を聞いた時点で、自分の答えはもう決まっていたはずだ。


『おまえの全部、俺が受けとめたっ!』


大迫がそう答えて以来、二人は晴れて恋人同士になったと言うわけだ。


しかし。


だからと言って、二人の仲は、彼女のはば学在学中から比べても、これといって深まっているわけではない。肉体的な接触と言う面では、特に。時折手を繋ぐのが精々、それも人目がない時に彼女からの控えめなリクエストがあった場合に限ってで、大迫から言い出したことはまだ一度もない。
それはふたりが交際を始めてからまだ日数が浅いせい…とも言い切れない。
彼女が高校を出たことで、教師と生徒と言う関係は無効化し、交際を開始するのに何ら問題はなくなったーーと言うのは、あくまで表面上に限ってのことで、実に三年もの間、彼女が自分の受け持つクラスの生徒であったと言う事実は、今なお大迫のフィジカル、メンタル両方を縛っている。


その表れのひとつとして、彼女との交際を決めた翌日、大迫はそれを自分の職場である学園側に報告すべく、学年主任の氷室零一教諭を通して理事長に面会する機会を作ってもらえるように願い出た。
卒業後のことだし、在学中には何ら後ろ暗いところがなかったとは言え、この先どう言った形で誰の目に留まり、誰の口からどこにどう二人の関係が伝わるかわからない。隠さなければならないことが何もないからこそ、いざという時のために先手を打って、自ら事実を告げて公にしておいた方がいい。大迫はそう判断した。


そして後日、はばたき学園理事長室。


「なるほどね。ふむ、了解したよ。おめでとう」


なにがしかの非難、あるいは注意をされると覚悟していた大迫は、はばたき学園の理事長を務める天之橋一鶴から穏やかな笑みをたたえてそう言われて、かなり拍子抜けした。
「あ、ありがとうございます。その…申し訳ありませんッ」
大迫が深々と腰を折ると、天之橋は片手を軽く上げてそれを制した。
「はは、やめたまえよ。なにも在学中からこっそり付き合っていたわけではないのだろう? ならば学園側が関知するところではないのだからね」
そう言ってから、ああ、と何かに気づいたような声を上げると、顔の前で人差し指を立てて、
「まあ、そうだね。一応、私と氷室先生からは厳重注意を受けた、と言うことにしておいてくれるかな。建前を重んじる人も中にはいるだろうからね」
「は、はい。あの、よろしいんですか、それで」
恐る恐る大迫が聞くと、天之橋は悪戯っぽい微笑を浮かべて、自分の座るデスク脇に微動だにせずに立ち尽くしている氷室をチラリと見てから、大迫に向かって片目をつむって見せた。
「うむ、構わないよ。私には、私達に君を咎める資格があるとは思えないのでね。なあ、氷室先生?」
すると氷室は微かに片眉を上げて厭そうな表情になった。
「コホン! 理事長。私に振らんでください」
「ハハッ、すまないね、つい」
「?」
ふたりのやりとりの意味を理解できない大迫が大人しくその様子を伺っていると、氷室は再び咳払いをして話し始めた。
「在学中、彼女はあらゆる面において非常に優秀で、それ以外でも何かと人目を引いていた」
「はあ」
そんなふうに突然切り出されて、大迫はとりあえず頷く。
「堅いなあ、氷室君。可愛らしいとか魅力的だとか言えば話が早いだろうに」
「コホン! 理事長、話の腰を折るのはやめていただきたい。…そんな彼女と教師である君が必要以上に親しくしていれば、人の口に上らぬわけがない。そういった情報は何ら確認していないし、何より学年主任として君をサポートしてきた私が、君の潔白を明言できる。君は教師として恥ずべきことは、何一つしてはいない。胸を張ってよろしい」
「あ、ありがとうございます!」
「とは言え、卒業しても彼女が我が校の大事な生徒であることには変わりはない。決められた門限は厳守するなど、交際は節度を守ったものであるべきだ」
「それはもちろんです!」
大迫は背筋を伸ばして応える。それに対する氷室の反応は、意外にも柔らかな笑顔だった。
「ならば他に言うことは何もない。後は君たちでさらに良い関係を築いていくといいだろう。…おめでとう、大迫先生。以上だ。他になければ仕事に戻りなさい」
ありがとうございますッ! 失礼しますッ!! そう大声で感謝の意を告げると、大迫は理事長室を後にした。


そして、今に至る現在、特に目だって大きな問題は起こっていない(ちなみに理事長と氷室に報告したその日のうちに、彼女の両親にも挨拶を済ませた。父親は複雑そうであったが、母親は大迫が恐縮するほどの歓待ぶりであった)。生徒や父兄からのクレームもなかった。休日ふたりで居るところを見かけたという生徒たちから、ちらほらからかわれることがあるくらいだ。しかし何を言われても大迫が堂々としていたので馬鹿らしく思ったのか、しつこく絡んでくるような者もいなかった。


正直な話、二人の交際があまり問題視されないのは、わりと自分の見た目に起因するところもあるのではないかと、大迫は思っている。
自分で言うのも何だが、休日のラフな私服姿で彼女と並んでいるのをショーウィンドウなどで見ると、大学生、下手をすれば高校生同士のカップルに見えないこともない。


……だが、それでも。


自分は教師で彼女はやはり自分の生徒だ、と言う認識が消えるわけではない。
それだけに、大迫は思うのだ。彼女が自分に寄せている好意は、教師と言う頼れる存在である身近な年上の男に対する、単なる憧れの感情なのではないか、と。その可能性は、大迫にとって未だ捨てきれるものではない。
それを恋愛感情と取り違えていたとして、その事実に後から気付いた時、のっぴきならぬ関係になってしまっていて傷付くのは、言うまでもなく女性でしかも年若い彼女の方だ。そんな事態だけは、三年間、曲がりなりにも教師として彼女を導いてきた自分が防がなくてはならない。絶対に。
彼女の心が成熟し、大迫に対する感情が真に異性への恋情であると確認できるようになる、いや、そうでないとしても、せめてその結果に責任が持てるくらいに大人になるまでは。…それまでは。


そう固く心に決めながらも。


彼女が向けてくる視線、表情、真っ直ぐな言葉、仕事の邪魔にならないようにと電話がかかってくることは稀だが、その代わり日々送られてくるメール。
そのどれもが全力で自分を好きだと言っているように思えるのも、また事実だ。
その上、制服をまとっていた頃とはまた別の魅力的な姿を、たまに会う休みのたびに見せつけられて、大いに決心を揺さぶられてしまうのだから困りものだ。
特に最近は、気候が夏に近づくにつれて、服装の露出度がどんどん上がってきているのも無視できない問題である。
今日も彼女はキャミソールにミニスカートと言う出で立ちで、そこから伸びる白く細い手足や綺麗に浮き出た鎖骨は大迫の目を引くのに十二分、ともすればさらにその下にまで吸い寄せられそうになる自分の視線を、辛うじて制御するので手一杯なのだから、我ながら呆れてしまう。


(こらぁ! 邪念を捨てろ、力ぁ! ラグビーで鍛えたオマエの忍耐力はその程度かぁ!)


そう自分に言い聞かせてはみるものの、改めて言うまでもないが、なりは小さくとも大迫もやはり男だ。それもいい大人の。
今すぐに何もかもを大迫のものにして欲しい、そう言わんばかりの態度を取り続ける彼女を、青春だのなんだのと口にして気付かぬふり、見て見ぬふりをしなければならないのは、想像していた以上にずっとしんどい。
おまけに自分は、この年下の恋人にもう既にかなり参っているときている。
この状態を一言で言うなら、まさに『蛇の生殺し』だろう。
ちょっと油断すると、彼女の全力に自分も全力で向き合って愛を伝え合うのが誠意ある態度ではないのかーーなどと都合のいい理屈をつけて感情の赴くままに行動しそうになるのだから、情けない話ではある。


「本当に参った。先生、今にも負けそうだぁ」
大迫の口から、小さな溜め息とともに思わずそんな呟きがもれた。
「えっ?」
なんのことですか? と彼女が愛らしく首を傾げる。
「ははっ。なんでもない。おまえは素敵だ、って話だ」
「…ホントですか?」
「バッカヤロー、先生、おまえに嘘言ったことがあるか?」
大迫が軽くにらんでやると、彼女は遠慮がちに答える。
「ない、です」
「わかればよろしい」
「ありがとうございます。嬉しい…!」


言葉通り、本当に嬉しそうな、輝くような満面の笑顔を見せられて、またもや胃の腑のあたりにぐっとくる大迫。
一体いつまで、このギリギリの状態でいられるだろう。
テーブルの下で、彼女へと伸ばしそうになる利き手を反対の手で制しながら、大迫は視線を彼女からはずして、ちらりとある方向へと飛ばす。


(あとはもう、頼みの綱はおまえらだぁ! しっかり見張っててくれよ、俺を)











「なあ、大迫ちゃん、今こっち見てなかった?」
少し離れた茂みの中。
そこに膝を抱えてしゃがみ込んでいた桜井琉夏は、隣で、これもやはりヤンキー座りをしている桜井琥一の脇腹をつついて言った。
「ぅお! バカ、ルカテメなにしやがる。くすぐってぇだろうが。…んな訳ねぇだろ。大迫の野郎、こっち向いちゃいねぇぞ」
「そっか。俺の気のせいかな」
「おうよ。第一こんだけ変装してんだからよ、こっち見てたところでバレるわけがねぇ」
変装って、帽子かぶってグラサンかけてるだけじゃん、と突っ込みかけて、琉夏はやめておいた。琥一にしてみれば、琉夏の言うところの『だせぇリーゼント』を隠しているだけでも立派に変装しているつもりなのだろう。
笑いをこらえながら、琉夏は持参してきた安っぽいオペラグラスを覗きなおした。いつだったか、夏祭りのくじを引いて当てたものだ。倍率2倍ほどの、何もないよりマシだろう程度の代物。それでもこの距離なら、彼らの表情を窺うくらいなら十分事足りる。
「大迫ちゃん、あいつのあの目で見つめられてよく平気でいられるよね。不感症なんじゃねぇ? 付き合って4ヶ月以上経つのに、あいつら、まだキスもしてないんだ。信じらんない」
「キ…! なんでテメェがんなこと知ってやがんだよ」
「だって俺、相談にのってるからね。男心の」
「なんだとコラ。聞いてねぇぞオイ」
「コウは面倒くさがりだから、当てにされてないんだ。それにさ」
「なんだよ」
「ツラが怖ぇし」
「バッ、ツラはカンケーねぇだろが!」
「しっ。コウ、うるせぇ。見つかる」
琉夏が唇の前で人差し指を立てると、琥一は舌打ちして声をひそめる。
「…ツラって言えばよ、あいつ、あんな童顔野郎のどこがいいんだ?」
琥一の問いに琉夏も声量を落として答えた。
「そりゃやっぱ強いからじゃない? 結局俺ら一度も勝てなかったし」
在学中、桜井兄弟が大迫の頭に黒板消しを落とさんがためにかなり躍起になっていたと言うことは、はば学ではわりと有名な話だ。
当時のことを思い出したのか、琥一の表情が険しくなる。
「クソッタレが…たまたまだ、たまたま。運が悪かったんだよ。オイ、ルカ、いつかゼッテーリベンジしてやんぞ」
「あのさ、コウ、そう言うのなんて呼ぶか教えてやる。負け羊の遠吠えって言うんだ。ちょうどいいからさ、羊語でも言っとけ。『メェ~』って。ほら、鳴けよ」
「はぁ? 誰が鳴くか。だいたいそりゃ羊じゃなくて犬だろうが! って、犬じゃねぇけどよ! 羊でもねぇっつってんだろ。オレはほら…あれだ」
「あれ? …ああ、うん、わかった」
「おう、やっとわかりやがったか。遅ぇんだよ、オマエは」
「うん、あれだろ、ほら、アルパカだ」
「アルパ…?! 違ぇよこのタコ! テメ、いい加減マジで殺すぞ」
「あ。怒った。アルパカ怖ぇ~!」
「アルパカじゃねぇっつってんだろ、狼だ! オ・オ・カ・ミ! 狼って言え! このボケ!」
「うん、まあ、それはともかく」
あっさりと琉夏に話題をすかされて、琥一はガクッと肩を落とす。
「あーあ、あいつ、今にも溶けそうな顔しちゃて。あんな至近距離であの顔されたらさ、マジでヤバい。スゲェいい。どきゅーんてきちゃう。もう即イタダキマスだ」
「だな」
「……コウ、そんなこと考えてたのかよ。おまえってホント、悪いだけじゃなくてエロい奴だ」
「へっ、上等だコラ。なんとでも言いやがれ」
「あれ。否定しないんだ。いつもみたいにそりゃテメェのことだろ、とかって」
「否定すんのもメンドクセー…って言いたいとこだけどよ。出だしでテメェに遅れとるわけにゃいかねぇからな。この際ごまかすのはヤメだ」
「それって、あの二人が別れちゃったりした時の後のハナシ?」
「ま、そういうことだな」
「ふうん。結構色々考えてるんだ。バカなりに」
「オマエもな」
「けどあの様子だと、それは望み薄そうだけどね」
「…だな」
「まあ、そうならなくてもさ、どんな理由であれ、もしあいつ泣かせたりしたら、大迫ちゃん、マジでフルボッコだ」
「おう。たりめーよ」
「あと、成人前に手ぇ出しても、やっぱフルボッコ」
「トーゼンだな」
そうこうしている間に、大迫と彼女が席を立つのが見えて、琉夏は顎で琥一にそれを指し示す。
「…あ、あいつら移動するみたいだ。コウ、俺たちも行こ」
「へえへえ。ったくよ、このくそ暑ぃのに…ダリぃなオイ」
「タラタラしてないで早くマシン取ってこいよ、ブラック」
「あいよ…って待てや。誰がブラックだコラ。つーかなんでオレがテメェに使われなきゃなんねぇんだよ」
「それはレッドの方が偉いからだ。リーダーの命令は大人しく聞けよ」
「はぁ? 誰がリーダーだって?」
「もちろん俺。…あ。あいつらマジで行っちゃう。見失っちゃうじゃん。ほら、早く行けよコウ」
「チッ。しょうがねぇな。メンドクセー」


ぶつくさ言いながら愛車を取りに行く琥一の背中を見送り、視線を大迫と彼女へと戻しながら、琉夏は思う。


『あんな童顔野郎のどこがいいんだかな』


(コウはあんなこと言ってたけど、あいつ、男見る目ある。大迫ちゃん、あんなナリだけどやっぱ…デカい。名は体を表すって本当なんだな。昔の人、スゲェ)


こうしてふたりが逢うのを何度か遠目に見ているが、それだけで、彼女がどれだけ大迫に夢中なのか、その大迫が彼女をいかに大事にしているかが分かってしまう。


(ホントは、さ。おまえが幸せなら、それでいいんだ。俺たち。おまえにはもう、大事なものをたくさんもらったから)


だけど。


(離れてた時間の方が長い分、まだちょっとだけ寂しくてさ。だから、もうしばらく、おまえのそばにいさせて欲しい。関わらせて欲しい。俺たちは、おまえを守るヒーローなんだって思わせてよ)


小さい頃みたいに。
教会で三人、仲良く遊んでいた、あの頃のように。


(おまえが本当の意味であいつのものになって、もっともっと幸せになるまで。俺たちが安心できるくらいになるまでは、こうやってさ。……とりあえず、『先生』なんて呼んでるうちはまだダメ。ぜんぜんダメ)


そんなふうにひとり頷きながら思い浮かべるのは、もうひとりのヒーローである、強面で不器用で、けれども誰よりも優しい兄貴の顔。


(コウも多分、おんなじ気持ちだ。俺たち、バカみたいなとこだけは、ホントの兄弟よりもよく似てるから)





だから。お願いだから。





あと、少し。
あとほんの少しだけまだ、このままふたりで見守らせて。







俺たちの、大事な大事なお姫様。








*******************************

最後まで読んでくださってありがとうございます!
まだ出歩きイベントとかほとんど見られてないと思うので、
大迫先生のパーソナリティーがよくわかっていません。
エロ系? 非エロ系?? どっち???(気になるのはそこなのか)

まあ、こんなふうに思ってたらいいなー的なお話であります。
実際は「あはは!」って笑い飛ばして、全然悶々としなさそう…。
そんな大迫先生が大好きだ! 先生は素敵だ!!
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